さて、勝手にこちらからメールを送った私は返事が来ることを期待せず、また普通の生活に戻った。なにせ、今では立派な映像プロデューサーだ。またファンレター的なメールは毎日たくさん届くだろうから、いちいち窓口から本人にフォワードしてくれないだろうし、忙しい本人は目も通さないだろう。
ところが、翌日、本人から直接メールが届いたのだ。「メールいただきありがとうございます。嬉しかったです」とあり、私のことを覚えていてくれたようだ。
私は最初のメールで、今住んでいる場所を伝えておいたのだが、彼は年に数回、訪問しているとのこと。また会えるといいですねと書いてあった。
往々にしてこういう会話はいわゆる社交辞令で、実際に実現することはない。そういう冷めた気持ちを持ちながらも、30年振りにコンタクトできたことを幸せに思った。